トイプードルも可能性がある⁉︎犬の脳腫瘍について徹底解説

こんにちは。今日は脳腫瘍について色々教えてください。
テレビを観ていたら、人の脳腫瘍について放送していましたが、犬も人と同じように脳腫瘍はあるのでしょうか?
うちのトイプードルもシニアなので、かかりやすい病気には気を配りたいと思いました。
獣医師
こんにちは。もちろんですよ!
シニア期に向けて配慮することはとても大切ですね。
仰るとおり、人だけでなく犬でも脳腫瘍はあります。
やはりそうでしたか…。まわりの友人にはいないのですが、どれくらいの子が患っているのでしょうか?
獣医師
そうですね。犬では、10万頭に15〜20頭くらい発生すると報告があり、人よりも多いと言われています。
1歳未満の若いとき、5歳以上のシニア期に入ってきたときに多くなりますが、どの年齢でも発生しうる病気です。
もちろん、トイプードルでも脳腫瘍にかかる子はいます。
すごく多くないとはいえ、脳腫瘍になる可能性があるのですね…
予防はできないのでしょうか?
獣医師
残念ながら、そこが難しいところです。
なぜ脳腫瘍になるのかというメカニズムがはっきり分かっていないため、予防することができません。
ですが、早く気づくことができれば、外科治療で日常生活を維持できることもありますし、他の治療方法を選択することもできます。
万が一に備えて、できることを理解しておきましょう。

犬の脳腫瘍とは?

脳腫瘍は、脳の中に腫瘍ができてしまう病気です。

最初から脳に腫瘍ができてしまう原発性の脳腫瘍と、からだの他の部分に腫瘍(ガン)ができて脳に転移した転移性の脳腫瘍に分類されます。

原発性の脳腫瘍では、脳そのものにできるタイプと脳を覆う髄膜にできるタイプがあり、犬や猫では後者が多いです。

その他にも、脳から出ている神経系やずい液を産生する脈絡叢にできるタイプなど様々あります。

どんな症状が出るの?

獣医師
脳は、感情や記憶などの精神的なこころを司っていたり、感覚、目や腕、足などに指令を与えたりと生命の重要な役割を果たしています。
そのため、脳腫瘍の症状は、腫瘍ができた場所、大きさによっても異なってきます

脳腫瘍にみられる症状は下記のようなものがあります。

  • けいれん
  • 元気、食欲がない
  • ぶつかる
  • ふらつく
  • 頭やからだが傾く
  • 視覚障害、眼球が揺れている
  • 徘徊やグルグル回るなどの認知症に似た行動
  • 寝続ける
  • 意識レベルが低下する
  • 性格の変化

さまざまな症状が挙げられますが、腫瘍の場所や大きさ、進行スピードもなども関係し、全ての症状が見られるわけではありません。また、高齢だからと間違えて気付きづらいことも多くあります。

中でも脳腫瘍の症状として、犬ではけいれん発作が見られることが多いという報告がありますので、何か気になる異変があった場合には、動物病院でご相談することをオススメします

その際に、動画を撮影しておくと説明がしやすいですよ。

注意
けいれん発作や他の上記の症状が見られた場合、他の病気が隠れている可能性も十分に考えられます。また、初期では少し元気がないなどのわずかな変化しか見られないこともあります。

けいれんの症状に関しては、こちらの記事もご参考になさってください。

トイプードルが突然痙攣を起こした!てんかんとの関係性は?

 

どうやって診断するの?

けいれんやふらつきなどの症状であれば、まだ気づいてあげることができるかもしれませんが、元気がない食欲がないくらいであれば、私たちもあることだし、見過ごしてしまうかも…。
もし、動物病院に連れて行ったらどんなことをしていきますか?
獣医師
そうですね。小さな変化だと発見が難しいことが現状です。しかし、そうやって気にかけてあげることが1番重要のことだと思いますよ。

動物病院に訪問したら、まずは、脳腫瘍の疑いがあるかを調べていきます。

ご家族からワンちゃんの日常の様子など詳しく聞き取りをします。既往歴を確認したり、身体検査、神経学的検査などを行います。全身の健康状態を把握すためには、血液検査、尿検査なども行われます。

神経学的検査:けいれんなど神経症状を示す動物に対して行う検査です。観察、姿勢反応検査、脊髄反射検査、脳神経検査、知覚と痛覚検査触診など1つずつ確認をしていくことで、神経の病気かどうか、脳や神経のどの部分に問題があるのか、病気の進行度合いが分かります。

獣医師
次に、脳内の病気が疑われた場合に、CTやMRIなどの画像検査が勧められます。

CTやMRI検査は、機械を取り入れている動物病院が限られるため、大学病院や専門病院、2次病院にて実施します。

CT検査:脳を覆う頭蓋骨や脊髄を評価できます。一部の脳腫瘍が発
見可能ですが、検出が難しい脳幹部や小脳などは、MRIに
劣ります。

MRI検査:脳神経や脊髄神経そのもののを評価します。脳内にある
場所の特定や大きさなど確認することができ、腫瘍を見
つける検査として優れています。

獣医師
MRIなど動物の医療でも画像診断はめざましい進歩がありますが、脳腫瘍を判定したり、腫瘍の種類を特定することは、専門家でもとても難しいものがあります。

そのため、脳脊髄液検査など追加で他の検査を実施することもあります。

脳脊髄液検査:脳や脊髄が入っている頭蓋骨や脊髄の中には、直接骨が当たらないように髄液と呼ばれる液体で保護されています。この液体を採取して検査をすることで、腫瘍の種類や炎症の判定に使われます。

補足
CTやMRI検査は、全身麻酔を必要とします。
事前に全身麻酔のリスクがないか確認するための検査も別途実施します。
全身麻酔の費用も含め、CTやMRI検査は、およそ4万〜15万円程度かかります。

もし脳腫瘍になってしまったら

いきなりMRI検査をするのではなく、順序立てていくのですね。診断されたくはないですが、もし脳腫瘍が見つかってしまったらどうすればいいのでしょうか?

治療方法

緩和療法(投薬・保存療法)

緩和療法は、外科治療や放射線治療を実施しない場合だけではなく、これらの治療とも並行で行われます。
ご自宅で投薬をしながら、ワンちゃんの生活の質を保ちながら過ごすことが目標です。

痛みや副作用の軽減、床ずれの防止、食事や認知症のケアなども含め、精神面と肉体面の双方にアプローチをします。

主に脳腫瘍では、脳の浮腫や炎症を抑えるためにステロイドを投薬したり、けいれんを減らすために抗けいれん薬などの投薬を行います。高齢の場合や病気が進行してくると、介護も必要になることも。

人のがん患者のお話ですが、2010年に「早期からの緩和ケアによって患者の生存期間が延長する可能性がある」という論文が出されました。(Temel JS, Greer JA, Muzikansky A, et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer.N. Engl. J. Med. Aug 19 2010;363(8):733-742.)

この研究は、精神状態やQOLの改善を目的に始めました。実際に早期から定期的に緩和 ケアの診療を受けていた群の方がQOLは良 好で抑うつが少ないという結果でした。

そのまま動物に当てはめることはできません。
しかし、ネガティブなイメージの緩和ケアはですが、早期から取り入れることで病気を理解し、どう向き合っていくのか飼い主さんにとっても必要な時間になると思います。

放射線治療

放射線を腫瘍部位に局所的に照射する治療です。
外科手術が適用できないケースや腫瘍が大きくて全て取り除くことができない場合、腫瘍を小さくしたり延命を目的に選択されます。

やはり副作用もあります。照射する場所や線量によって変わります。照射部位の脱毛や一時的な皮膚障害が見られます。
治療費は回数などにもよりますが、数十万円はかかります。

また、大学病院や専門病院に通院して治療することになるため、ワンちゃんへの負担、時間や費用的な問題も検討材料に入ります。

外科治療

犬の脳腫瘍の1つである髄膜種は、早期に発見すると外科手術にて切除することが可能です。手術後、変わらない日常生活に戻れる子もいます。

しかし多くの脳腫瘍は切除が難しいケースが多く、さらに年齢や合併症などから外科手術ができないことも多いです。

化学治療(抗がん剤治療)

髄膜種、グリオーマなどの一部の脳腫瘍に、効果が認められる抗がん剤があります。再発率の高い悪性の場合、再発を抑えるために外科手術と併用で使われるケースがあります。

主な副作用としては、骨髄抑制で投与してから白血球数の抑制などが認められます。

脳腫瘍 闘病生活を頑張っている子もいます

(チャンネル:【抗癌DOGGY】可哀想なマロピッピ)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

予防することはできませんが、異変に早く気づくためには観察が大切です。

他の病気と同じですが、「年のせいかな?」と思ってしまう変化もしばしばあります。

若い時からその子にとっての通常の行動を観察しておき、何かモヤッとするような病院に行くまでじゃないかなと思う段階で、動物病院で相談することが何事もなくても安心できますし、早期発見につながりますよ。

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